特設1ー1 二次電池のリユース・リパーパスについて

 二次電池のリユース・リパーパスを検討される製造者様へ


はじめに

このウェブサイトは、これからリユース・リパーパスを検討されている事業者様(製造者様)に、そのリスクや責任を広く知って頂く為に、(一社)電池工業会が作成したものです。以下の注意事項を必ずご確認下さい。

● リユース・リパーパスに関連するリスクを十分に認識し、各事業者様の責任において、それに応じた適切な対応を行うことが必要です。
● IEC63338の基準に準拠することは、リスク回避の為の最低限の要件です。
● 本ウェブサイトに記載されている内容を遵守しても、全てのリスクを回避出来る訳ではありません。
● リユース・リパーパスに関連する一切の事故について、(一社)電池工業会は何らの責任を負うものではありません。


背景

近年、資源の有効活用、CO2の削減の観点から、製品のライフサイクル思考 (LCT)と環境配慮設計 (ECD)の要求が高まっており、電池をリユース *1 または リパーパス *2 して再利用することが、有効な取組として検討、適用され始めております。

しかしながら、電気自動車用電池などをリユース・リパーパスすることにおいては、適切な条件で使用しないと火災事故等の極めて重大な危険を伴う可能性がある為、リユース・リパーパスを適用する前には、潜在する危険について十分に検討する必要があります。  *製造責任に関する内容

今回、適切な電池のリユース・リパーパスのガイドラインとして、国際規格 IEC63338 *3 が発行され、これに基づき、その考え方について以下に示しております。必ずご一読下さい。

  
*製造責任に関する内容

● リパーパス(再利用品)が「製造または加工された動産」に該当する限り、再利用品を「製造
 または加工」した物が製造物責任を負う。しかし原製品の引渡時から有していた欠陥と再利用
 に際して生じた損害との間に因果関係がある場合には、原製品の製造業者が製造責任を負う。

● 適切な使用方法について、指示・警告がなければ、指示・警告の欠陥となる。

● 再利用が、「製造または加工」に該当する場合は、再利用品を製造または加工した者は、
 再利用品が引き渡された日※ から新たに10年間、製造物責任を負う。
※ 必ずしも利用者に引き渡される必要は無い(=最終利用者の購入日ではない)。
  製造・加工者の占有を離れ、流通に置かれた時が起算点とする。

*民法では、まず不動産を定義し(土地及びその定着物)、動産は不動産以外の物と定義される。 

【原製品のPL責任範囲 および 再利用品のPL責任範囲】

  

概要

リチウムイオン電池、ニッケル水素電池を対象としております。その他の二次電池のリユース・リパーパスについても、リスクを否定するものではありません。
以下、IEC63338に記載されている下記内容を確認して、適切なリユース・リパーパスが可能か判断して下さい。

リユース・リパーパスした電池に対する責任は、リユース または リパーパスした製造者が負う必要があります。

下記7点が遵守出来なければ、電池のリユース・リパーパスはせずに、廃棄・リサイクルして下さい。


 ①   環境に考慮してリユース・リパーパスをしますか
 ➁   一次利用製品の電池は、リユース・リパーパスを想定した電池ですか
 ③   一次利用製品(製品による使用)の使用履歴データを確認しましたか
    一次製造者 *4 ・一次利用製品製造者 *5 書面合意出来ますか
 ⑤   リユース・リパーパス製造会社のマーク 又は ラベルを付けましたか
 ⑥   リユース・リパーパスの関連規格を遵守していますか
(IEC 63330-1、IEC 62933-4-4、IEC 62933-5-3)
  リユース・リパーパスする製品について、製品上の責任を負うことが出来ますか

  

*注釈

*1 リユース:二次電池を市場に最初に投入された時と「同じ用途」で再び使用すること
*2 リパーパス:二次電池を市場に最初に投入された時と「異なる用途」で再び使用すること
*3 IEC63338:二次電池およびバッテリーの再利用と転用に関する一般的なガイダンス規格
        (General guidance on reuse and repurposing of secondary cells and batteries)
*4 一次製造者(新規電池製品の製造者)
       :「電池製造者」
         (リユース・リパーパスの可否を判断する)
*5 一次利用製品製造者(電池の一次利用製品の製造者)
       :「電気自動車製造者、蓄電システム製造者」等
         (リユース・リパーパスの可否を判断する)

 

【二次電池のリサイクル・リユース・リパーパス イメージ図】